大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(ラ)296号 決定

記録によれば、昭和三十年三月十五日附の本件競売期日公告には本件競売の目的不動産たる建物四棟につき、ただ一箇の最低競売価額(金三十二万五千円)を掲げるのみで建物各箇につきその最低競売価額を記載していないことは所論のとおりであるが、鑑定人川口長助提出の評価書(記録六四丁以下)の記載によれば、その評価額は(一)の建物が金十七万五千円、(二)の建物が金四万三千円、(三)の建物が金四万七千円、(四)の建物が金六万円、合計金三十二万五千円であることが認められる。而も前記最低競売価額金三十二万五千円は必ずしも金額が嵩むという程の額ではないから、現在の経済事情の下においては、これが競落を希望する者において特に多額の資金を準備することを必要とする程度のものではないと考えられる。従つて、本件建物四棟の競売にあたり、これを箇別に競売することなく一括して競売しても、その利用方法並びに資金等の関係から、極めて少数の者しか競買申出人となり得ないという状態ではないというべきであるから、競売においてなるべく多数の者が関与することができ、その競争により比較的公正妥当な価格によつて競売目的物を処分せしめようとする法の精神に悖ることもなく、又特に競落代金が箇別に競売する場合に比して低額となる虞れがあるとも考えられない。又本件においては一括して競売したためその競落代金の低下を来し、抗告人に不測の損害を蒙らしめた事跡の徴すべきものはない。

かかる場合においては、競売裁判所がその自由裁量により数箇の不動産を一括してその最低競売価額を定めて競売することは適法であつて、而も数個の不動産を一括して競売に附するためには特別の形式を以てする必要はないのであるから、競売期日の公告にはその一括した最低競売価額を掲載するを以て足り、且つ、かかる最低競売価額の記載があれば一括して競売をする旨を定めた趣旨であると解せられる。従つて、特に一括競売をする旨を記載しなかつたからといつてこれを違法であるということはできない。

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